私(理事長)が、以前にもお伝えしているように、ルネッサンス以降、バロック、古典主義、ロココ、ロマン主義を経て、近代に至り、後期印象派の頂点に立つポール・セザンヌまで、西洋絵画史は 数百年かけて 歩みを連綿と進めてきました。
その後、この長い歩みを一端、解体したキュヴィスム、シュルレアリスム、フォーヴィスム、バウハウスなどモダン・アートの画家たちが、その全く異文化の世界の一つとして引用し、取り込んだものの一つに「子どもの絵画」があります。実際、パウル・クレー、アンドレ・ドランなどは、子どもの絵画から影響を受けると話しています。
本園のホームページに掲載された卒業生の絵画をご覧頂ければ、その自由さ、大胆な筆触が感ぜられると思います。多分、それは、子どもが美術史や造形理論から全く自由に、思うがまま即興的に描くこと 即ち幼年時代の精神の力に全く新しい表現世界の刺激を受けたからです。子どもの絵の優れたところは、型にはまった思考より即興的に描きながら感じることと、考えることにギャップが少ないので、より自由に描き、完全、完成よりも未完のまま、描くその瞬間を生きているのだと思います。それが幼年期のもつ大きな力です。